最近、AIがエンジニアの仕事を奪うかどうかについての議論が活発になっています。例えば、以下の記事では「AIによってエンジニアの仕事は減らない」と主張されています。
参考記事: AIでエンジニアの仕事は減るのか? – Publickey
しかし、この主張には希望的観測が含まれているように思えます。確かに、新しい技術の登場によって新たな仕事が生まれるというのは歴史的に見ても正しいですが、AIの進化スピードと仕事の創出スピードが必ずしも一致するとは限りません。今回は、筆者が「エンジニアの仕事は減る」と考える理由について述べていきます。
仕事を提案する人が増えなければ、仕事は増えない
AIによって業務が効率化されても、新たなプロジェクトが増えるとは限りません。新しい仕事を生み出すのは主に経営者や起業家ですが、彼らの目的は売上の最大化やコスト削減であり、必ずしも雇用を増やす方向に進むとは言えません。エンジニアの生産性が向上しても、それを吸収するだけの新規プロジェクトが生まれなければ、結果としてエンジニアの仕事は減ることになります。
AIによる効率化が市場の需要を上回る可能性
仮に、AIによってコーディングが高速化し、新たなプロジェクトが次々に生み出されたとしても、それを消費する市場が追いつかなければ意味がありません。例えば、AIによってアプリ開発のコストが劇的に下がったとしても、そのアプリを使うユーザーの数や市場の規模が変わらなければ、新規プロジェクトの増加には限界があります。
レビューや設計が不要になる可能性
「AIがコードを書くとしても、それをレビューするエンジニアは必要」という意見もあります。しかし、そもそもコードレビューの目的は可読性や保守性を担保することです。もしAIがコードを書き、それが完全にテストを通過するのであれば、人間のレビューは不要になる可能性があります。たとえば、GitHub CopilotやAutoGPTのようなツールが今後さらに進化すれば、エンジニアがコードを読み書きする機会がなくなるかもしれません。
DXの促進で新たな仕事が生まれる可能性はあるが…
確かに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、新たな仕事が生まれる可能性もあります。しかし、AIの進化スピードのほうがそれを上回る可能性が高いため、結局のところエンジニアの総数は減少する方向に進むのではないでしょうか。
産業革命が示唆するエンジニアの未来
産業革命は、タスクごとの労働者数を劇的に減らした一方で、新しい産業を生み出し、仕事に携わる人間の総量を増加させました。例えば、自動織機は手織り職人の仕事を奪いましたが、工場や鉄道、関連するサービス業など、それまで存在しなかった膨大な数の新しい仕事を生み出しました。
しかし、AIがもたらす変化は、この産業革命とは異なる側面を持っています。AIによるイノベーションは、単なる肉体労働の代替に留まらず、高度な認知タスクまでも効率化します。その変化の速度は、産業革命を遥かに上回る可能性があります。
AI時代において、新しいビジネスが生まれることは確実です。しかし、AIの効率化がもたらす仕事の減少スピードに、新たな仕事の創出が追いつかない可能性も十分に考えられます。このため、産業革命のように最終的に仕事の総量が増えるという保証はなく、個々のエンジニアは自らのスキルを常に進化させ続ける必要があります。
どのくらいの勢いで減るのか?
エンジニアの仕事が減ることはほぼ確実ですが、そのスピードにはばらつきがあります。AIが急速に進化し、数年以内にほとんどのコーディング作業を担うようになれば、業界全体に大きな影響が及ぶでしょう。一方で、新技術の普及には時間がかかることも多く、すぐに大規模な雇用減少が起こるとは限りません。
ワードプレスのように古い技術であっても、いまだに広く使われており、「WordPressはそのうち廃れる」と言われながらも依然として需要が高い状況が続いています。こうした例からも分かるように、人間は想定より柔軟性が低く、既存の仕組みに強く依存する傾向があります。この特性が、新技術の普及スピードを鈍化させる要因になり得るのです。特に日本のIT業界では、中小企業やスタートアップが多く、設立年数が浅い企業が多いため、新技術の導入スピードは比較的速い。しかし、それでも全ての企業が即座にAIを活用するわけではなく、技術導入の速度にはばらつきがある。これにより、エンジニアの仕事の減少スピードは業界や国によって大きく異なる可能性があります。
短期的(1〜3年)には、AIの補助ツールとしての活用が進む程度にとどまり、劇的な雇用減少は起こらないでしょう。しかし、中長期的(5〜10年)には、特定の分野ではAIが主導的に開発を進めるようになり、単純なコーディング作業の需要は大幅に減少する可能性があります。そのため、エンジニアはAIを活用するスキルを身につけるか、設計やマネジメントの分野にシフトする必要があるでしょう。
対策:エンジニアはどう動くべきか?
リスクを考慮すると、今のうちに以下のような対策を検討すべきです。
- AIを作る側に回る:AIエンジニアや機械学習エンジニアとして、AIそのものを開発・改善する側になる。
- マネジメントやディレクションにシフト:プロジェクトマネージャーや技術ディレクターとして、AIを活用する立場に回る。
- 副業を育て、複数のスキルを持つ:AIが取って代わる可能性が低い領域(コンサルティング、ビジネス開発など)にも目を向ける。
まとめ
AIの発展によって、エンジニアの仕事が減るのはほぼ確実です。ただし、その速度と影響の範囲はまだ未知数です。重要なのは、変化を前提として、どのように適応していくかを考えることです。今後のキャリアを考えるうえで、「AIに取って代わられる仕事」と「AIを活用する仕事」のどちらに進むかを慎重に選択する必要があるでしょう。
AI導入による未来のソフトウェア開発体制についても考察しました。よかったら読んでください↓
おまけ:AIはエンジニアを減らす、でもそれでいいじゃない
ここではおまけで私の考えを綴ります。追記したので文調が変わっちゃってます。
⚠️雇用問題等は度外視していますがご容赦ください。
エンジニアの仕事は減ってもいい
AIがコーディングやレビューを効率化し、エンジニアの仕事は減る。2025年、企業は合理性を求めてAIをガンガン使う。でも、それでいいじゃない。エンジニアが減れば、ムダな会議や採用の手間が消える。「仕事が減らない」と主張する声は、エンジニアのアイデンティティにしがみつく感情論だ。合理的な社会なら、仕事が減るのは進化の証。固執するより、意義ある未来を選ぼう。
アイデンティティの呪縛を捨てろ!
「エンジニアでなきゃ」ってこだわりは、ただの感情。AI時代に仕事が減るのは自然なのに、「なくならない」と願うのは進化を拒む抵抗だ。2025年、エンジニア不足と言われつつ、AIで生産性は上がる余地だらけ。アイデンティティに縛られず、合理的に動く方が社会に価値を生む。エンジニアであることに、どんな意義がある? 執着を捨てて、新しい可能性に飛び込め。
ITじゃなくていい、一次産業・二次産業を変える
エンジニアの仕事が減っても、ITに固執する必要はない。一次産業(農業、漁業)や二次産業(製造業)に、エンジニアのような論理的思考を持つ人材が飛び込めば、効率化や新しい仕事の創出で産業がガラッと変わるかもしれない。2024年の日本では、農業の労働力不足が深刻(農林水産省データで、就農者10%減)。AIでITをスリムにした分、論理的スキルで食料生産やものづくりを革新する方が、社会的に意義深いだろ。柔軟に挑戦する姿勢が、未来を切り開く。
合理性が社会を変える
AIは合理性を突き進む。エンジニアが減り、効率的な少数精鋭が動けば、社会はスリムに、強く進化する。「仕事が減ったら困る」って感情論は、合理性に逆らうだけ。一次産業でも、クリエイティブな仕事でも、柔軟にシフトする方が、社会に意味がある。AIと共に、ムダを削ぎ、意義ある未来を作ろう。
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