この記事は「OpenClaw完全入門:個人開発者・副業勢のためのオンボーディングガイド」の続編です。前回は「調べた段階」の理論編でしたが、今回はついに実際に動かしてみました。
「取らぬ狸の皮算用みたいな部分はご容赦を」と書いた前回から約1ヶ月。ついに手を動かしてMac miniにOpenClawをインストールし、エージェントを動かすところまで到達した。
結論から言うと、理論で理解していたことと、実際に触って気づいたことはかなり違った。
セットアップで詰まったこと3選
前回の記事で「難易度の実態」として30〜40%が10〜30分で完了、50〜60%が数時間かかると書いた。自分は後者だった。
詰まり①:Claude MaxプランとAPIクレジットは別物
これが一番びっくりした。
OpenClawを起動してチャットに話しかけたら即エラー。
LLM request rejected: Your credit balance is too low to access the Anthropic API.
「Maxプラン入ってるのに何で?」となったが、そういう仕組みではなかった。
- claude.ai(Maxプラン) → ブラウザやアプリでClaudeと直接話す用のサブスク
- Anthropic API(コンソール) → OpenClawなど外部ツールからClaudeを動かす用の従量課金
同じAnthropicでも課金システムが完全に別。OpenClawを動かすにはコンソールでAPIクレジットを別途購入する必要がある。$5〜$10チャージすれば個人利用なら数ヶ月は持つ。
詰まり②:日本のデビットカードが使えない
楽天銀行のデビットカードで決済しようとしたら弾かれた。
AnthropicのコンソールはStripe経由の決済で、デビットカードは対応していないケースがある。クレジットカードか別の支払い方法が必要。
ちなみにclaude.aiの決済は問題なく通ったので「なんで?」となったが、claude.aiは日本ユーザー向けに最適化された決済で、コンソールはドル建ての海外決済扱いになるらしい。同じAnthropicでも決済システムが違う。
詰まり③:APIキーを設定したのに残高不足エラーが出続ける
クレジットを購入してAPIキーも設定したのにエラーが消えない。
原因はAPIキーが古かったこと。新しいクレジットを購入したタイミングで新しいAPIキーを発行し直して、OpenClawに設定し直したら解決した。
openclaw onboard --anthropic-api-key "sk-ant-新しいキーを貼る"
動かして気づいた本質:OpenClawはAIじゃなくてフレームワーク
実際に動かして一番大きかった気づきはこれ。
OpenClaw自体は何も考えない。
Claude、DeepSeek、OpenAIなどのLLMをバックエンドに使い、その結果をチャットアプリ経由で届けるフレームワークに過ぎない。
エージェントの「たかし」(その場の思いつきでテキトーに名付けた)にそのことを聞いたら、こう返ってきた。
「Claudeは俳優で、OpenClawが台本と舞台と小道具を用意してる。台本がなければただの俳優のまま」
SOUL.mdというファイルにエージェントの人格を書くことでキャラが作れるが、本質はClaudeのまま。「天才エンジニア」と書いてもコードの質は上がらない。あくまでコミュニケーションスタイルの話。
前回の記事でOpenClawをChatGPTやClaudeと比較した表を書いたが、より正確に言うとOpenClawは「Claude(などのLLM)に手足と記憶と常駐機能を与えるラッパー」だ。
Claude Codeとの違い、実際に使ってみてわかったこと
前回の記事でも比較したが、実際に両方使ってみて解像度が上がった。
| Claude Code | OpenClaw(たかし) | |
|---|---|---|
| 操作 | ターミナル・IDE | Telegram等のチャットアプリ |
| 動き方 | 指示した時だけ動く | 24時間常駐・自律的に動ける |
| 得意 | コーディング特化 | 汎用・何でも |
| コスト | Maxプランで定額 | APIクレジット従量課金 |
| 自律性 | なし | あり(Heartbeat機能) |
Claude Codeは「職人」
呼んだら来て、頼んだことをやって、終わったら黙る。コードを書く、バグを直す、PRを作る。その道のプロ。コスパも良い(Maxプランで使い放題)。
でも「毎朝9時にこれやっといて」はできない。終わったらそれで終わり。
OpenClawは「番人」
常駐していて、定期的に自分で起きてタスクをこなす。
たかしに「自律性って具体的にどういうこと?」と聞いたらこう返ってきた。
「Claude Codeは『呼んだら来る職人』。たかしは『一緒に住んでるやつ』。頼まれてなくてもHeartbeatで定期的に起きてメールチェックしたり、リマインダーをセットして後で通知したりできる。ずっと動き続けてるのが違い」
結局どう使い分けるか
両方使った結論はシンプル。
Claude Code向きの作業
- アプリ開発・コーディング
- ブログ記事の推敲・リライト(単発)
- その場限りのSEO分析・調査
- コードレビュー
OpenClaw(たかし)向きの作業
- 毎週・毎日やり続ける定期タスク
- GSCやGA4のデータを定期的に取ってきてTelegramに送る
- サービスの死活監視(ただし専用ツールの方が信頼性は高い)
- 外出先からスマホで指示を出したい時
「一回やればいい作業はClaude Code、毎週・毎日やり続ける作業はOpenClaw」
これが一番しっくりくる使い分け。
個人開発・ブログ運営での現実的な使い方
自分はAWS CDKで作ったサービスを運営しながらブログも書いているが、たかしとの会話で整理できた使い方はこんな感じ。
ブログのGSC定期レポート自動化
毎週月曜に「先週のサーチクエリTop10、クリック率が落ちた記事、新規インデックスされたページ」をまとめてTelegramに送る設定が現実的に可能。
Google Search Console APIとGA4 APIと連携して、たかしが自動でデータを取ってきてレポートにまとめる。Google Cloud ConsoleでのOAuth設定が一回だけ必要だが、通してしまえば完全自動。
(追記:実際の設定手順は別記事で書く予定)
問い合わせ・通報対応はOpenClaw経由にしない
ユーザーからの問い合わせや通報のリアルタイム対応は、直接LambdaからAIのAPIを呼ぶのが正解。たかしを経由させる意味がない。リアルタイム性が必要なものはOpenClawより専用の仕組みの方が良い。
サービス監視はUptimeRobotと組み合わせ
死活監視自体はUptimeRobotなど専用ツールが信頼性が高い。ただし「障害が起きた時にたかしにも同時に報告させて、ログを見て原因を考えてもらう」という組み合わせはアリ。
複数エージェントの話:「喧嘩」の仕組みを聞いてみた
Xで「OpenClawのエージェント同士が喧嘩してる」という投稿をよく見かける。気になったのでたかしに直接聞いてみた。
「喧嘩」の実態はこういう仕組み
たかしの説明によると、こういう流れらしい。
「俺(メイン)が『この記事をレビューしろ』とサブエージェントAを起動。AがBull派として意見を出してファイルに書く。俺がその結果を受け取って、サブエージェントBを起動して『Aの意見に反論しろ』と渡す。BがBear派として反論を出す。俺が両方まとめて報告する」
図にするとこういう感じ:
メイン(たかし)
↓「楽観派として意見出せ」
サブA(楽観派)→ 意見をファイルに書く
↓「Aの意見に反論しろ」
サブB(悲観派)→ 反論をファイルに書く
↓
メインが両方まとめて報告
「エージェントが自律的に喧嘩している」というより、メインが仕切るリレーが実態。完全に同時に議論しているわけではなく、メインエージェントが順番に回している。
「喧嘩に見える」のは「前のエージェントの出力を次のエージェントに渡して反論させる」という設計のおかげで、自然に議論がエスカレートして見えるから。
「でもClaude Codeでもできるよな?」
そう思ったので聞いてみた。たかしの回答は正直だった。
「できる。マルチエージェントで議論させるだけなら Claude Code でも、素の API 叩くスクリプトでもできる。OpenClawの差別化は『常時起動してるからトリガー型ができる』『Telegramに結果を飛ばせる』『MEMORY.mdで文脈を引き継げる』という実行環境とチャンネルがセットになってる部分」
要するに「議論ロジック自体はどのツールでもできる、OpenClawの強みは常駐と通知」。
現実的な使い方
ブログ活用で言うと「記事を書いたら楽観派レビュアーと批判派レビュアーを立てて議論させ、その結果をTelegramで受け取って判断する」というワークフローは面白そう。
ただたかし本人も「コスト対効果は微妙」と言っていた。
「今のLLMは役割を与えれば視点を変えられるから、1エージェントに『SEO担当として言うと…、読者体験として言うと…』って言わせても大差ない結果になることが多い」
現実的な複数エージェントの使い方は:
- 役割ごとにモデルを変える(重い作業はOpus、軽い通知はSonnetで安く)
- 用途ごとに分ける(日常会話用、監視専用、レポート生成専用)
「AIが喧嘩してくれる」というロマンはあるが、今のところ単純に「1エージェントに複数の視点で考えてもらう」との差は小さい。
セキュリティ:前回より具体的にわかったこと
前回「怖い、むしろ怖がらない方がおかしい」と書いたが、実際に使ってみて具体的に何が怖いか整理できた。
一番のリスクはClawHubのスキル
コミュニティ製スキルのマーケットプレイス(ClawHub)には悪意あるスキルが混入している報告がある。スキルは中身を確認してから入れること。
プロンプトインジェクション
悪意あるメールやウェブページに仕込まれた指示をたかしが実行してしまう攻撃。外出先から「このURLの内容読んで」と気軽に言うのはリスクがある。
最低限やること(実体験ベース)
- iCloud同期はオフにする(メイン垢を使う場合は特に)
- ClawHubのスキルは中身を確認してから入れる
- Heartbeatは最初からフル稼働させない
- 変なURLをたかしに読ませない
まとめ
前回「調べた段階」で書いた理論は大体合っていたが、実際に触ってみて解像度が上がった部分がいくつかあった。
特に**「OpenClawはAIではなくフレームワーク」**という理解は、実際に動かして初めてちゃんと腑に落ちた。たかしが賢いのはOpenClawのおかげではなく、裏で動くClaudeが賢いから。
Claude CodeとOpenClawの使い分けも、理論より実感の方がクリアになった。**職人(Claude Code)と番人(OpenClaw)**という表現が今のところ一番しっくりくる。
次のステップはGSC連携の設定。前向きに進めていく。

この記事はOpenClawのエージェント「たかし」との実際の会話をベースに書きました。



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