以前、「YouTuber収入の現実:登録者別目安と個人開発者の戦略」という記事を書きました。
あの記事では「YouTube単独の収益化は労力に見合わない」と結論づけましたが、完全に認識が浅かったです。
というのも、知人のYouTuber(登録者15万人)が「月収200万円」と言っていて、最初は「盛ってるだろ…」と思ったのですが、詳しく聞いてみたらガチでした。
そして気づきました。
前回の記事は「広告収入だけ」の視点で書いていて、2025年のYouTubeの本当の稼ぎ方を完全に見落としていたのです。
今回はその「裏側」、特に「コアなファン」がなぜ最強の収益源なのかを徹底的に解説します。
登録者15万人で月200万円の内訳
まず、知人のチャンネルの実態から。
基本データ
- 登録者数:15万人
- 投稿頻度:毎日投稿(月30本)
- 平均再生数:4〜5万回/本
- ライブ配信:週1回
- 企業案件:なし
月収内訳(推定)
| 収益源 | 月額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 広告収入 | 10〜20万円 | 月総再生120〜150万回、RPM 0.1〜0.15円 |
| スーパーチャット | 30〜70万円 | 週1ライブ、赤スパ(高額投げ銭)が結構来る |
| メンバーシップ | 60〜120万円 | 月500円プラン、登録者の2〜3%加入 |
| その他 | 5〜15万円 | グッズ、Twitch等 |
| 合計 | 105〜225万円 | 平均して月150〜180万円 |
前回記事で「登録者10万で月5〜15万円」と書きましたが、それは広告収入だけの話でした。
実際には、メンバーシップが収益の50〜60%を占めているのです。
なぜメンバーシップがこんなに稼げるのか
メンバーシップの威力
登録者15万人のチャンネルで、メンバー加入率が2.5%の場合:
15万人 × 2.5% = 3,750人
3,750人 × 月500円 = 月187.5万円
「2.5%って少なくない?」と思うかもしれませんが、ゲーム実況では2〜3%は普通に達成可能です。
では、なぜこれほど多くの人がメンバーになるのでしょうか?
毎日投稿による習慣化
毎日同じ時間に投稿することで、視聴者の生活リズムに組み込まれます。
| 投稿頻度 | 視聴者の感覚 | メンバー加入率 |
|---|---|---|
| 週1〜2回 | 「たまに見る人」 | 0.8〜1.5% |
| 週3〜4回 | 「よく見る人」 | 1.5〜2% |
| 毎日 | 「毎日会える人」 | 2〜4% |
毎日投稿は、視聴者に「この人には毎日会える」という安心感を与え、「応援したい」感情を育てます。
承認欲求の満足
メンバーシップに加入すると:
- 専用バッジがつく(古参アピール)
- 限定絵文字が使える(特別感)
- 名前が目立つ(承認欲求)
- メンバー限定配信に参加できる(優越感)
これらは全て、人間の「認められたい」「特別でありたい」という承認欲求を満たします。
「無償の愛」を注げる対象
現代社会で、「無償の愛を注いでも絶対に裏切られない対象」は極めて希少です。
| 対象 | リスク |
|---|---|
| 友人・恋人 | 裏切られる可能性 |
| 家族 | 関係が疲れることも |
| 会社 | 搾取される |
| 推し(配信者) | 裏切らない(画面の向こう) |
だからこそ、「ここにだけは安全に愛を注げる」という場所に、人々はお金を払うのです。
スーパーチャット(投げ銭)の心理
「なぜ赤スパ(高額スーパーチャット)を投げるのか?」
スーパーチャットは「お金で感情を届けるツール」として機能しています。
普通のコメントは流されますが、スーパーチャットは:
- 100%読まれる
- 色付きで目立つ
- 配信者が必ず反応する
- 推しを支援できる
「今日だけは絶対に伝えたい!」という瞬間に、人々はスーパーチャットを投げるのです。
個人開発者への示唆:「作ってる人」を売る時代
従来の個人開発モデル(前回記事)
良い製品を作る
→ ユーザーが増える
→ 広告 or 有料課金で収益化
このモデルの問題点:
- 製品の質で勝負 = AI時代で差別化困難
- ユーザーは「製品」にしか興味ない
- 収益は製品の成否に完全依存
新しいモデル:YouTube型「ファンエコノミー」
開発過程を毎日発信
→ 「この人を応援したい」ファンが生まれる
→ 製品がなくても収益化できる
実際、GitHub Sponsors(開発者向け支援プラットフォーム、手数料0%)やPatreon(クリエイター向け継続課金サービス)などで、「この人の開発を応援したい」として月数万〜数十万円の支援を受ける個人開発者が増えています。
これはYouTubeのメンバーシップと全く同じ構造です:
- 製品だけでなく「開発過程」を公開
- 「この人を応援したい」というファンを育てる
- 製品完成前から収益化できる
重要なのは:
「何を作るか」だけでなく「誰が作るか」も価値になる時代
個人開発者がYouTube型モデルを使う方法
パターンA:配信特化型(YouTuber型)
主な活動:
- コーディング過程をライブ配信
- 毎日の進捗を短尺動画で報告
- 「なぜこの設計にしたか」を解説
収益源:
GitHub Sponsors、Patreon、YouTube広告・メンバーシップ
特徴:
製品完成度より「発信頻度」重視。エンタメ要素が強く、製品リリース前から収益化可能。
向いてる人:
喋るのが好き、毎日発信できる、ファンと交流したい
パターンB:製品特化型(従来型の進化版)
主な活動:
- 黙々と製品開発に集中
- 完成度の高い製品をリリース
- 技術ブログで事後解説
収益源:
製品の有料課金、企業ライセンス
特徴:
製品の質が全て。発信は最小限でOK。収益は製品完成後。
向いてる人:
発信が苦手、技術だけで勝負したい、クオリティ重視
パターンC:ハイブリッド型(2025年の最適解)
主な活動:
- 製品開発に集中しつつ
- 開発プロセスは週1〜2回発信
- リリース後も継続的に改善報告
収益源:
製品の有料課金(メイン)+ GitHub Sponsors(サブ)+ 技術記事の広告収入
特徴:
製品の質 + 人間性の両方で稼ぐ。発信は「無理のない範囲」。製品完成前から小額収益。
向いてる人:
バランス型、長期で安定したい、発信もそこそこできる
AI時代だからこそ「人間性」が価値になる
2025年の現実
| 要素 | AI登場前(〜2022) | AI時代(2025〜) |
|---|---|---|
| プログラミング情報 | 希少価値あり | ChatGPT/Claudeで無料 |
| コード実装 | 人間の付加価値 | AIが自動生成 |
| 便利ツール | 作れば差別化 | AIが量産 |
| 「この人を応援したい」 | あれば有利 | 唯一の差別化要因 |
AIが情報とコードをコモディティ化した結果、人間にしかできないことは「感情的繋がり」だけになりました。
ホワイトカラーの崩壊 vs 人間性ビジネスの興隆
| 職業カテゴリ | AI化進行度 | 今後の見通し |
|---|---|---|
| データ入力・事務 | 90%自動化 | ほぼ消滅 |
| プログラマー(単純実装) | 70%効率化 | AI補助前提に |
| ライター・翻訳 | 80%代替可能 | チェック役のみ |
| YouTuber(ファン型) | 0%代替不可能 | むしろ需要増加 |
| 個人開発者(ファンあり) | 0%代替不可能 | 安定収入 |
だからこそ、個人開発者も「製品だけ」ではなく、「作ってる人」として認知されることが重要になっています。
補足:これは「水商売」なのか?
ここまで読んで、「これって感情を売る水商売では?」と思った方もいるでしょう。
正直に言います。構造的には似ています。
| 要素 | キャバクラ・ホスト | YouTube/ファンビジネス |
|---|---|---|
| 客の求めるもの | 承認欲求・孤独解消 | 同じ |
| 距離感 | 近いが触れられない | 画面越しで会えない |
| 売上構造 | 指名料・ドリンク | メンバー・スパチャ |
ただし、これは批判ではありません。
むしろ:
- 身体的リスクゼロ
- 寿命が長い(40代でも余裕)
- 初期投資ゼロ
- 完全合法
- 視聴者も娯楽として楽しんでいる
という点で、従来の水商売より遥かに健全です。
重要なのは、「感情を売る」ことを隠さず、娯楽として明示している点です。
YouTuberは「俺を楽しんでくれ」と言い、視聴者も「娯楽」として消費しています。
これは詐欺でも搾取でもなく、Win-Winの関係です。
結論:個人開発者の3つの選択肢
前回記事では「YouTube単独では稼げないから、製品開発に集中しろ」と書きました。
でも2025年の現実は違います。
選択肢1:製品特化型(従来型)
- メリット:技術力が活きる
- デメリット:AI時代で差別化困難、収益不安定
- 適する人:顔出ししたくない、技術だけで勝負したい
選択肢2:配信特化型(YouTube型)
- メリット:製品未完成でも収益化可能、安定収入
- デメリット:毎日発信が必要、感情労働の側面
- 適する人:発信好き、ファンと交流したい
選択肢3:ハイブリッド型(推奨)
- メリット:製品の質 + 人間性で二重に稼げる
- デメリット:両方の労力が必要
- 適する人:バランス型、長期で安定したい
前回記事は「選択肢1」しか提示していませんでしたが、2025年は「選択肢2・3」が現実的です。
最後に:あなたはどう戦いますか?
YouTubeの「コアなファン」が最強の収益源である理由、理解いただけたでしょうか。
- 登録者数は重要ではない
- ファンの濃さ(メンバー率2〜3%)が全て
- AI時代、「人間性」だけがAI代替不可能
- 個人開発者も同じ構造を活用できる
前回記事で「YouTube単独では稼げない」と書いたのは、広告収入だけを見ていたからでした。
でも実際には、「この人を応援したい」という感情が、最も安定した収益源になっているのです。
あなたはどう戦いますか?
- 製品だけで勝負する?
- プロセスも公開して、ファンを作る?
- それとも別の道を探す?
答えは一つではありません。
ただ、2025年の現実として、「人間性」が価値になる時代が来ていることは確かです。
参考リンク
- 前回記事:YouTuber収入の現実:登録者別目安と個人開発者の戦略
- GitHub Sponsors:https://github.com/sponsors
- Patreon:https://www.patreon.com
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